照りのある煮汁をまとったフィリピンのチキンアドボ。にんにくと月桂樹の葉が添えられている
🔪下準備15分
🔥調理45分
🌍料理フィリピン料理

フィリピンのアドボの作り方|酢と醤油の煮汁を白ごはんに合う濃さへ

24分で読めます世界ごはん紀行編集部
Cooking flow

作り方を先に見る

調理工程スライド
STEP 11 / 4

鶏肉の水分を拭き、煮汁を合わせる(10分)

手順1: 鶏肉の水分を拭き、煮汁を合わせる(10分)

鶏肉は洗わず、キッチンペーパーで表面の水分を押さえる。

骨付き肉は1切れ4〜5cm幅を目安に切り分ける。

皮付きなら、身の厚い部分に浅く2〜3本切り込みを入れる。

骨の周りまで味を入れたいからだ。

小さなボウルに醤油、酢、水、つぶしたにんにく、黒こしょう、月桂樹の葉を入れて混ぜる。

醤油の色が酢に均一に広がり、底に調味料が残らない状態ならよい。

この段階で鶏肉を漬け込む必要はない。

漬ける場合も室温には置かず、密閉して冷蔵庫で30分から8時間までにする。

*煮汁を先に合わせておくと、鶏肉を焼いたあとに火を弱める判断がしやすい。*

STEP 22 / 4

皮を下にして、脂を引き出す(6分)

手順2: 皮を下にして、脂を引き出す(6分)

厚手の鍋に油を入れ、中火で30秒温める。

鶏肉の皮を下にして並べ、動かさずに4〜5分焼く。

皮がきつね色になり、鍋底に透明な脂が出てきたら返す。

ここで中まで火を通す必要はない。

表面に焼き色がつき、皮が鍋から自然にはがれる状態なら次へ進める。

焦げそうなら火を中弱火に落とす。

骨付き肉は厚みがあるので、強火で表面だけ黒くするより、脂をゆっくり出したほうが煮汁が濁りにくい。

*皮が鍋底から離れたら返す。焼き色は濃い茶色まで進めない。*

STEP 33 / 4

煮汁を沸かし、弱火で火を通す(35分)

手順3: 煮汁を沸かし、弱火で火を通す(35分)

鍋の火を止め、合わせておいた煮汁を注ぐ。

はねやすいので、鍋肌から静かに入れる。

中火に戻し、沸騰して白い泡が浮いたら1分だけ煮立てる。

酢の香りが鼻を刺す状態から、湯気ににんにくの甘い香りが混じる状態へ変わったら、ふたをして弱火にする。

30〜35分、煮汁が鍋の中で小さく揺れる火加減を保つ。

15分たったところで鶏肉を一度返す。

肉の一番厚い部分が74℃に達していることを確認する。

温度計がなければ、骨の近くに竹串を刺し、透明な肉汁が出ることを確認する。

ただし、色だけで安全を判断しない。

*煮汁が大きく踊るなら火が強い。小さな泡が続けて出る程度に落とす。*

STEP 44 / 4

ふたを外して、食卓に合わせて煮詰める(8分)

手順4: ふたを外して、食卓に合わせて煮詰める(8分)

鶏肉に火が通ったら、ふたを外して中火にする。

5〜8分煮詰め、煮汁を「ごはんにかけたい量」まで残す。

目安は二つある。

ごはんにたっぷりかけるなら、鍋底に120〜150mlほど残し、さらりと流れる状態で止める。

肉の表面に濃い照りをまとわせるなら、2〜3大さじまで減らし、へらを通すと鍋底が一瞬見える濃さにする。

塩辛くなったら鶏肉をいったん取り出し、水を50ml足して2分煮る。

酸味が尖っているときは、砂糖小さじ1と水大さじ2を加えて1〜2分だけ煮る。

どちらも、鶏肉を長く煮詰めてから直そうとしないことが大切だ。

*煮汁がスプーンの背に薄く残り、皮が光れば火を止める。*

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Ingredients

材料を分けて見る

材料スライド
9品目

材料

材料 分量 役割と代替
鶏もも肉(骨付き・皮付き) 800g 4〜5cm幅に切る。骨なしなら700gにして煮込み時間を短くする
醤油 60ml フィリピンのトヨがあれば使う。日本の濃口醤油でも作れる
60ml サトウキビ酢がなければ米酢。穀物酢は酸味が立つので水を少し増やす
180ml 煮汁の濃さを調整する。最初から全量入れる
にんにく 8片 包丁の腹でつぶす。香りを丸くしたいときは薄切りにする
黒こしょう 小さじ1 粒を粗くつぶす。粉末でもよいが、香りは早く抜ける
月桂樹の葉 2枚 ローリエ。なければ省略する
食用油 大さじ1 鶏皮を焼くため。脂が多ければ減らす
温かいごはん 4人分 酸味と煮汁を受け止める

この分量は、酢と醤油を1対1にした出発点だ。 酸味の弱い米酢ならそのまま、酸味の強い穀物酢なら水を200mlにしておくと、煮詰めたときに角が立ちにくい。 砂糖は基本形に入れていない。 甘みがほしい場合は、完成直前に小さじ1だけ加えるほうが、酢の香りを隠しにくい。

醤油には大豆や小麦を含む製品がある。 アレルギーがある場合は、表示を確認したうえで小麦不使用のたまり醤油などに替える。 たまり醤油は塩味と色が強いことがあるため、最初は50mlに減らし、煮汁を味見して足す。

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材料表の分量4人分

表内の数値を目安として再計算します。塩、辛味、油は味を見ながら調整してください。

📊 栄養情報(1人分)
105
kcal
8.0g
タンパク質
6.0g
脂質
2.0g
炭水化物
0.3g
食物繊維
275mg
ナトリウム
※ 目安値です。材料や調理法により変動します。
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材料からそろえる、味の決め手

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ふたを開けると、酢より先ににんにくが来る

想像してみる。 夕方、鍋のふたを持ち上げると、最初に立つのは酢の鋭さではなく、煮崩れかけたにんにくと黒こしょうの香りだ。 白いごはんをよそい、鶏肉を一切れ置く。 箸で割った皮の下から、醤油色の肉汁がじわりと出てくる。

アドボは、酢と醤油を同量にすれば自動的に決まる料理ではない。 酢をいつ沸かし、どこまで煮詰め、最後にどの程度の酸味を残すかで、同じ材料でも皿の印象が変わる。

骨付き鶏もも肉で作る基本形を、家庭の鍋で見分けやすい状態まで落とし込む。 フィリピンのサトウキビ酢を探すか、日本の米酢で始めるか、ココナッツミルクを買ってビコール地方へ寄せるかも、鍋を煮詰める前に決められる。

アドボの由来と、食卓ごとに違う正解

フィリピン国家栄養評議会は、アドボをフィリピンの代表的な料理として紹介しながら、家庭や地域ごとに材料と作り方が変わる料理だと説明している。 鶏肉や豚肉を酢、にんにく、黒こしょうなどで煮る形は広く知られているが、醤油を入れない白いアドボ、ココナッツミルクを加えるアドボ・サ・ガタ、牛肉や空心菜を使う形もある。

名前の由来も一つに決め切れない。 フィリピン情報庁の取材記事では、アドボという呼び名はスペイン語の adobar(漬け込む、味をつける)と結びつけて説明される一方、酢やにんにくを使う調理の土台は交易や植民地支配より前からあった可能性があると、歴史家の見解を紹介している。 名前が外から来たとしても、鍋の中身まで外から一式持ち込まれたとは限らない。

2021年には、フィリピン貿易産業省の標準局が、アドボを含む代表料理の標準化を進める技術委員会について公表した。 ただし、これは家庭の鍋を一つの配合にそろえる話ではない。 同局の資料が示すように、月桂樹、黒こしょう、醤油、酢、ココナッツミルク、アツエテなどが組み合わさり、地域差を含めて基準を考える作業だった。

家庭ごとのレシピが残る料理だからこそ、アドボは食卓の人数やごはんの量にも寄り添う。 煮汁を多めに残して白ごはんへかける家もあれば、肉に濃い照りをまとわせて少量のソースで食べる家もある。 どちらかを唯一の正解にせず、鍋の最後に今日の食べ方を決めるのが、この料理の面白さだ。

だから、日本で作るときの軸も「本場の数字を再現する」ではなく、次の三つで決めるとよい。

  • 酢は、肉を煮る液体として十分に入れる。
  • 醤油は塩味の強さを見ながら、酢と同量から始める。
  • 最後の煮詰めで、白ごはんにかける液体か、肉にまとわせるソースかを選ぶ。

酸味を残すか、煮汁を濃くするか

アドボは「酢を入れた煮込み」から、最後の数分で別の料理へ動く。 ふたをしたままなら、酸味のある煮汁が肉の周りに残る。 ふたを外して煮詰めれば、醤油の塩味と鶏の脂が前に出て、白ごはんへ少量だけ添える料理になる。

ここで酸味を全部飛ばそうとしない。 煮汁の表面から酢の刺激が抜けても、口に入れたときに短い酸味が残るくらいが、脂のある鶏肉を重くしない。 逆に、酢の香りを保存性の根拠にしてはいけない。 鶏肉の加熱と冷却、冷蔵のほうが優先される。

黒こしょうは、粒のまま煮ると香りがゆっくり出る。 包丁の腹や乳鉢で粗くつぶすと、にんにくと一緒に立ち上がる香りが増す。 買う条件は、粒を粗くつぶせる深さと、にんにくを一度に入れられる容量があること。 すでに包丁で足りている人や、収納場所を増やしたくない人は見送ってよい。 リンク先では、花崗岩の材質、鉢の大きさ、すりこぎが付属するかを確認したい。

地域差を知ると、アレンジの加減が決まる

アドボの地域差は、別料理を無理に一皿へ詰め込むための一覧ではない。 何を足すと、酸味、脂、塩味のどこが動くのかを知るための地図だ。

フィリピンのアドボに使う具材と、煮汁の濃さを比べる様子

醤油を入れないアドボ・プティ

酢、にんにく、黒こしょう、月桂樹の葉を中心に煮る形。 色は淡いが、味が薄いとは限らない。 醤油の塩味で輪郭を作れない分、煮汁を詰めすぎず、酢の香りと鶏の脂を残すとよい。 今回の基本配合から醤油だけを抜くなら、塩を小さじ1/2から始め、最後に味を見る。

ココナッツミルクを加えるアドボ・サ・ガタ

ビコール地方の料理として知られる形で、ココナッツミルクが酢の角と鶏の脂を包む。 基本のアドボを一度作ったあと、別の鍋で煮汁150mlとココナッツミルク200mlを合わせ、鶏肉を戻して弱火で8〜10分煮ると、味を比較しやすい。 最初から400ml全部を入れると、酸味の判断が難しくなる。

ココナッツミルクは、ビコール風を試す人には買う理由がある。 反対に、初めてアドボを作る人やココナッツの香りが苦手な人は、基本形を先に作ればよい。 リンク先で確認する一点は、400mlの容量と、砂糖入りの飲料ではなく料理用のココナッツミルクであることだ。

肉や野菜を替えるとき

豚肉を使うなら、豚肩ロース700gを5cm角に切り、鶏より10〜15分長く煮る。 脂が多い場合は、最後に浮いた脂を少しすくう。 牛肉のアドボは、煮汁が肉へ入るまで時間がかかるので、今回の60分レシピにそのまま置き換えない。

空心菜やバナナの花を加える地域差もある。 日本で試すなら、空心菜は最後の3分だけ入れる。 最初から煮ると葉が崩れ、酢の煮汁が重く見えやすい。

アドボの地域差を楽しむための鶏肉、ココナッツミルク、香味材料

基本形の皿を残してから、ココナッツミルクや具材を変えると違いが分かりやすい。

保存するときは、酢ではなく温度を見る

アドボは翌日に味が落ち着きやすい。 ただし「酢が入っているから常温で置ける」という意味ではない。

食べ終わったら、鍋のまま室温に置き続けず、浅い保存容器へ移す。 粗熱を取る時間を長くしすぎず、調理から2時間以内を目安に冷蔵庫へ入れる。 冷蔵したアドボは3〜4日を目安に食べ切る。 再加熱するときは、中心まで十分に熱くし、食べる分だけ温める。

冷たいままの煮汁は脂が白く固まり、塩味も強く感じる。 弱火でゆっくり温めると脂が溶け、酢の香りが戻る。 翌日に水分が減っていたら、水を大さじ1〜2だけ加えてから温める。

保存容器に移したチキンアドボと、翌日に温め直す煮汁

保存時は煮汁と鶏肉を一緒にし、容器の深さを浅くして冷ます。

生の鶏肉を洗うと、はねた水で周囲を汚すことがある。

鶏肉は洗わず、水分を拭いて使う。 まな板、包丁、手を生肉用とそのまま食べるもの用で分け、調理後は洗剤で洗う。 鶏肉の中心温度は74℃を目安に確認する。

よくある質問

酢と醤油は本当に同量ですか?

最初の配合としては同量が扱いやすい。 ただし、酢の種類、醤油の塩分、煮詰める量で仕上がりは変わる。 酸味を残したいなら煮汁を多めに、濃い照りをつけたいなら最後にふたを外して短く煮詰める。

日本の米酢でもフィリピン料理になりますか?

なる。 サトウキビ酢より穏やかな米酢なら、基本配合の60mlから始めればよい。 穀物酢を使う場合は、水を20ml増やし、最後に酸味を確認する。 酢の種類を変えることは、料理を別物にする失敗ではなく、食卓の酸味を調整する選択だ。

鶏むね肉で作れますか?

作れるが、骨付きもも肉より煮込み時間を短くする。 600〜700gを使い、弱火で18〜22分煮たところで中心温度を確認する。 煮汁を詰める時間も短めにし、肉を取り出してからソースだけを煮詰めるとぱさつきにくい。

辛い料理ですか?

基本形には唐辛子を入れない。 辛味を足すなら、赤唐辛子を1本だけ煮汁に加える。 ココナッツミルクの甘い香りと合わせたいときも、最初から何本も入れず、食卓で足せるようにする。

アドボに合う副菜は何ですか?

酸味と塩味を受け止める白ごはんが中心になる。 さっぱりした汁物なら、フィリピンの酸味料理であるシニガンの考え方が参考になる。 肉料理をもう一品置くなら、鶏肉を重ねず、香ばしく焼いたチキン・イナサルよりも、青菜やきゅうりのような水分のある小皿を選ぶほうが、アドボの煮汁が生きる。 豚の脂とにんにくの強さを楽しみたい日は、シシグを少量添える程度にとどめたい。

まとめ

アドボを作る要点は、酢と醤油の数字を守ることだけではない。 鶏肉の皮を焼き、煮汁を一度沸かし、弱火で中心まで火を通す。 そのあと、ふたを外す時間で「ごはんにかける煮汁」か「肉にまとわせる照り」かを決める。

初回は日本の醤油と米酢で基本形を作ればよい。 酢の香りをはっきり残したい人はサトウキビ酢を探し、ビコール風の丸い酸味を試したい人はココナッツミルクを一缶だけ加える。 買うものが増えても、鍋の判断が増えすぎないようにする。 それが、アドボを一度きりの異国料理ではなく、平日の白ごはんへ戻せる料理にする。

主な参考リンク

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